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2017.06.20
冬の山上にて 東山魁夷

山並みは幾重にもの襞をみせて、遥か遠くへ続いていた。

冬枯れの山肌は、沈鬱な茶褐色の、それ自体は捉えがたい色であるが、折からの夕陽に彩られて、明るい部分は淡紅色に、影は青紫色にと、明暗の微妙な諧調を織りまぜて静かに深く息づいていた。

その上には雲一つ無い夕空が、地表に近づくにつれて淡い明るさを溶かし込み、無限のひろがりを見せていた。

人影の無い山頂の草原に腰をおろして、刻々に変わってゆく光と影の綾を私は見ていた。(東山魁夷エッセイ:冬の山上にて)

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