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2007.12.13
松下より規模の大きい島田硝子
 当時、個人経営ではあったが松下より規模の大きい島田硝子という会社があった。島田は照明器具、松下は電気器具。
島田に行った帰りに松下に寄る。松下へ来た人は帰りに島田のところに仕入れに行く、というようにお得意先がだいたい一緒だったという。
 
ある日お得意先から松下幸之助はこう言われたという「松下さん、今日は関心しましたよ」・・・何故かと松下が尋ねると、「島田に行ってみたら新商品ができていた。それを60歳を超えた老大将が脚立を立てて自分で吊ってみせてくれる。偉い人ですな」という。
松下幸之助はそれを聞いてその晩フッと思ったという。
「僕はそういう事はやめておこう。60いくつにもなって、しかもあれだけ会社が大きくなったらそんな事はしなくてもいい。僕は感心しない」と。
「歳をとってからなお総大将が自ら製品を吊ってみせるような勤務体制はよくない。」と。
 後年、松下が隠居制度というものを取り入れたのはそのときからだと言う。
 
 「財界がひっくりかえりそうな大きな変動があったとか非常時のような状態であれば隠居がとんでいって仕事を手伝ったらいい。しかし普通のお客さんが来たときに新商品を自分が吊るしてみせるのは余 計なことだ。それは番頭か、息子に任せたらいい。」と。
 結局、島田はつぶれてなくなってしまったという。 (松下幸之助 経営回想録より)
 今も尚存続し続けている松下は
 当時の松下幸之助のこの選択(哲学)が間違っていなかった事を証明しているのではないだろうか。
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                   創徳企業情報 代表取締役社長 宇都宮徳治
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