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2020.04.02
残る桜
散る桜 残る桜も 散る桜(良寛)

K社長とは真夏の長岡の本社で初めて会った。お茶出しの秘書の手がぎこちなくドアを閉めてからK社長の話が始まった。半分は確信、半分は探りを入れるように聞いてきた。そしてご自身の事業の成り立ちを時計をゆっくり巻き戻すように話された。戦争で亡くなった兄嫁と結婚。二人で市場に買い出しに行き地元でスーパーを始めた。時流に乗り店を拡大し名士となった。協会の理事にもなり、地元銀行に勤める一人息子を後継にしようとしたが諦め、最愛の奥さんが認知症になり、東京に会合に出かけた時、帯同したが、ホテルからいなくなりこれで決断。今後苦労をかけた妻の介護に専念しよう。そして時間ができたら良寛のように生きようと。
あっという間に時間が過ぎ、K社長の声をふさぐような蝉時雨・・・
時はバブル絶頂期。30年前のこと。いまでも初対面のこの時間と空間は真夏なのにひんやりとしていて、ルネ・マグリットの「光の帝国」を観た時の感覚で静謐なものとして心の奥深くにある。

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