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2015.12.08
館山岩井海岸 布良の海
いまでも記憶にある。館山からの東京への帰りは曇天で雨交じり。卒業前の西早稲田の午後の1時間ほどしか陽の射さない3畳のアパートにつくと、机に大切にしていた新潮社の銀の装丁の三島由紀夫「花盛りの森」の本があった。2年ほど前最初に貸した友人Kから転々として、誰が持っているのかわからなかった本。みかん箱21箱に詰め込んだままの本と布団一式。友人はいつでもドアの上にある鍵の場所を知っていて気ままに出入りしていた。その後、F子はバイト先から忽然といなくなり、彼とはキャンパスで顔を観ることがあったが、なにもそのことをふれなく卒業した。
24歳布良の海で不朽の名作「海の幸」を描いた青木繁。75年のち23歳の館山岩井海岸で卒業実習のためにあたふたと過ごした自分。青春という多感言語で青木繁の絵画を観る貴重な体験をしたことは間違いない。
2015.12.8
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