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2017.11.29
仙人と呼ばれた男 田村祥蔵
明日の仕事にさしさわりがあると、本に栞をはさみ深い眠りについた。熊谷守一の岐阜の生家の山間は島崎藤村の「夜明け前」の裏木曽近い。本のまま義母に預けられ泣き出しながら背負子に乗せられ2日かかり実家に戻る熊谷守一の姿と山道を夢のなかにみた。

清春芸術村理事長、吉井画廊社長の吉井長三さんの機関誌「清春」に元日経文化部長の田村祥蔵氏が連載していたものをまとめたものがこの本。画家の熊谷守一を書いたもの。12月1日から熊谷守一展がはじまる。藝大同期の青木繁の貧と対照的に富める家系で親に満足させるために慶応に入った熊谷守一だと思っていたが、岐阜で紡績で財を成した父親が亡くなり、守一が負担する借財は50万円。いまの金額にすると50億円、少なくみても20億から30億。この章を読み購入した。熊谷守一の評価は来年はもっと、今後ももっと見直されると確信する。熊谷守一を知る本がすくない中、田村祥蔵氏が昭和46年にインタビューし、日経新聞に私の履歴書を連載、それを「へたも絵のうち」として世に出した。熊谷守一を理解するうえで貴重な本だとおもう。

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