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2017.09.15
美の店 壺中居
「これはだいぶ以前、納めた雪村の作品です」と僕が持参した雪村の図録をめくり学芸員のGさんはその頁を広げた。「四季山水図」文化庁が買い上げた作品だ。与謝蕪村の架け軸が飾られる地下の静寂な応接室でだされた日本茶をすすり、茶碗を眺め置いた。暫らく雪村のこと、そして作品の購入がいかに難しいか聞いた。退室する時、「宇都宮さん、これは川端康成の書です」とGさん。振り向くと川端康成が壺中居の為に書いた「美の店」。美しいと思った。「ここにこられるかたは年配者が多くエレベーターを使ってしまうのですが、こうやって絨毯が敷き詰められた螺旋階段を上ると梅原龍三郎の絵画も。四季折々、作品をかえます」
「風情があっていいですね」と僕。
小林秀雄も白洲正子も川端康成もみなこの壺中居に足繁く通い、審美眼を磨いた。
あっというまに一時間が過ぎ、徒歩500歩で事務所に戻った。空も秋の澄み切った紺色。至福の時。


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(川端康成の書)
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