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2016.11.22
88歳の依頼人

2010年、82歳の時お会いした。上海のエリート校、東亜同文書院を出られ大手商社を経て独立された。終戦まじかの頃、戦闘機に乗り、青森の飛行場を飛び立ち、日本本土で米国機と戦った。九死に一生を得て戦後は商社マンとして得意の中国語を生かして繊維畑で大活躍。金融破綻の頃、懇意にしている経営者から情にほだされて大きな工場を買ったのがその後の苦難のはじまり。ようやく方向性が観え、身内からの勧めもあって日本橋の創徳でお会いした。仕事人秘録を見て売却を固めて創徳に来られた。その後、従業員の反対にあい、何度かM&Aを中断。その間、膨らんだ事業を完璧にスリム化したために遥か以前から高収益の会社になっている。

逆に家族的な組織にしたために、従業員から高齢のオーナーにやめてもらっては困ると嘆願される。切った張ったのビジネスを生き抜いた経営者だがいつも情がまとわりつく、やさしい人だ。先週、携帯に電話を頂いた。顧問の会計士とも話し合い、ほぼ去年の打ち合わせの通りで再開したいとの事。

相変わらず、元気だ。深夜にギターを練習し、一日、2時間のストレッチと散歩。幾つか持つ名門ゴルフ場に月5回通う。大好きなゴルフは、いつも80を切るそうな。毎回、エイジシュートを。

「宇都宮さん、決まったら、あなたが日動画廊で選んだ絵画をください」それが、今年、気がついたら88歳になった経営者との約束。

 

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