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2016.11.16
壺中居
「こちらに昨日、細川護煕さんがこられ、座られました、個展のお礼とTV放映のお礼です」G学芸員が地下に案内しながら話す。白洲正子、小林秀雄、青山二郎が足繁く通った、老舗の古美術店だ。
中国の青磁の話をこのところ、昼に出かけ聞くことが多くなった。
地下の日本風の応接室で熱心に歴史年代順に説明するいかにも学芸員らしい生真面目な彼の声が、2人だけの狭い空間に言葉のビー玉となりこぼれ落ち、満たされていく。
ふと気がつくと壺中はブラックホールのようにすべてを飲み込んでいるような。不思議な空間。
出された一保堂のお茶と茶碗を置き、後にした。
外にでると、梅原龍三郎の「北京秋天」のような秋空だった。

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