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2024.11.11
菊山武士(きくやまつよし)解放される立

『解放される立』について

『立』という字は、『大』と『一』の組み合わせでできている字で、『大』は手足を広げて立つ人を正面から見た形であり、『一』はその立つところの位置を示すものであるとされています。
その『立』一字の書作品を制作していた最終盤で、墨量が足りず(一字書の制作には大きめの筆を使っていたので、大量の墨が必要となる。)、小さめの筆に持ち替え『立』の多字数作品を書かざるを得なくなったというのがこの作品の背景にあります。
『書』は、『卒意(制作意図や目的を持たず、心のままに作り上げること。)』を大切にするとは言いますが、なかなか書けるものではありません。この作品は、『卒意の書』とまでは到底言えないのですが、意図や目的を持たない行き当たりばったりの本当に最後まで書き上げることできるかどうか(残された墨量が少なかったので)という代物であったことは間違いありません。
書は、書いた文字や語句・詩や歌などの題がそのまま書のタイトルとなることが多いのですが、この作品の制作後「手足を広げて立つ人」が「その立つところの位置」から動き出し・走り出しているように感じられたことから、この作品のタイトルを『解放される立』としました。(菊山武士)

 

解放される立135×105 

第25回産経国際書展

 

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