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金山平三
日本芸術院会員、帝室技芸員の洋画家、金山平三は、7月15日心外腹炎のため東京大塚のガン研附属病院で没した。享年80才。明治16年神戸市に生れ、同42年東京美術学校西洋画科本科を卒業した。暫くの間同校助手をつとめたが、同45年渡欧し、4ケ年にわたり欧州各地を巡歴し、大正4年帰国した。その後は専ら文展、帝展に出品し、風景画、静物画に佳作を発表して特選を受け、大正8年以来昭和9年まで帝展の審査員をつとめた。昭和10年の帝国美術院改組以来官展から遠ざかったが、同19年には帝室技芸員を命ぜられた。戦後日展審査員に任命されたが辞退し、個展によって発表した。殊に同31年には画業50年展を日本高島屋に於いて開催し、その代表作を回顧的に陳列した。外光派に出発した彼は、練達した筆さばきによる独自の東洋的な油彩画に到達していることがわかる。代表的な作品には「夏の内海」(大正5年文展、国立近代美術館蔵)、「氷すべり」(同6年文展」、「菊」(昭和3年帝展、東京国立博物館蔵)、「下諏訪のリンク」(同11年帝展三井コレクション蔵)等がある。
略年譜
明治16年 12月18日兵庫県神戸市において、金山春吉の次男として生る。
明治42年 東京美術学校西洋画科本科を卒業。
明治45年 1月渡欧。4ケ年にわたり欧州各地に留学。
大正4年 12月帰国。
大正5年 第10回文展に初めて「巴里の街」「夏の内海」出品、後者特選。
大正6年 第11回文展「氷すべり」「造船所」出品、前者特選。この年無鑑査。
大正8年 第1回帝展に審査員となる(以降15回展まで審査委員をつとむ)。「雪」「花」出品。京都市牧田久吉次女らくと結婚。
大正11年 第4回帝展に「菊」「下諏訪リンク」出品。
昭和3年 帝展9回出品「菊」、帝室買上げとなる。
昭和7年 明治神宮聖徳記念絵画館に「平壌の戦」奉納。
昭和10年 帝国美術院改組に際し、同志と共に同展への不出品を声明。二部会に「東北の春」「信濃雪」(李王家買上)。
昭和15年 奉祝展に「信濃路」出品(宮内省買上)。
昭和19年 7月帝室技芸員を拝命。
昭和20年 5月、山形県の庄司薬局方に疎開。皇太子に「菊」、義宮に「ダリヤ」を献上。
昭和21年 10月、日展第2部の審査員に任命されたが辞退。
昭和30年 4月、大阪美交社において近作発表展を開く。
昭和31年 5月、画業50年展を日本橋高島屋に開催。
昭和32年 2月28日、日本芸術院会員となる。
昭和39年 7月15日東京大塚のガン研附属病院で逝去。
出 典:『日本美術年鑑』昭和40年版(132-133頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)
「金山平三」『日本美術年鑑』昭和40年版(132-133頁)
「金山平三 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)
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