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2024.01.17
井筒俊彦「意識の本質」

井筒俊彦「意識と本質:神秘的東洋を索めて」立花隆が大学院生の時、「神秘哲学」を読んでこんな人が日本人でいるのかと。司馬遼太郎は対談の後、20人の天才と話をしている高揚感を感じたとも(司馬遼太郎氏は新聞記者時代は宗教担当でこんな宗教家がいるのかと彼の対談集でその存在を知るなど司馬遼太郎氏のこの世界での深さを共感していた。また、難解な密教の巨人空海を書き上げた司馬遼太郎氏の質問に井筒俊彦氏がイスラーム、ギリシャ哲学、東洋哲学、ヒンズー教等に言及する場面では完全に司馬遼太郎氏は脱帽。この対談は結構面白い)。慶應義塾大学出版会の著作も含め全部そろえた井筒俊彦の著作は5年目を迎える・・・

井筒俊彦が学生時代にイスラームの経典を全部、暗記しているイスラムの僧、学者を本郷近くの下宿に訪ねた時、大家さんが彼はこの部屋を借りていますと案内してくれた。部屋を開けても誰もいない。大家はずけずけと部屋の奥にある押し入れを開けると、本人が出てきた、家賃が払えず恐縮して、押し入れのスペースだけの家賃を払っている。こんな面白い描写は思わず笑ってしまう。また、イスラムでは膨大な経典も戦争、災難でなくしたらどうする、僧、学者は一部の狂いもなく正確に暗記していることにも井筒俊彦は驚嘆している。

難解だが、井筒俊彦「意識の本質」は今も読み続けている。

中公文庫

 

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