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2023.03.22
桜のころ 中野淳

 24歳の時札幌で証券マンの駆け出しの頃、巨万の富を築いたオーナーの社長室、いつも対話するオーナーの後ろには8号位の桜の絵画があり、訪問のたびその絵画を見ていると「君はこの絵画が好きか」と。ありふれた建物に寄り添うように一本の桜の木。ぞっこん心に訴えるものがあり、いまでもその絵画は思い出される。 「宇都宮さん、先ほど中野淳先生が帰られたばかり」と日動画廊の担当者。中野淳「海と桜」伊豆高原から向こうに伊豆大島が観える。何気ない桜だが十数年前購入したもの。金山平三の東北の有名な一本桜を描いたもの、梅を愛す前田青邨の桜など勧められたが中野淳のこの桜にかなうものはない。長年観ていて気が付いたこと、左の家のピンク色はたぶんそんな色ではない。温厚な中野淳さんの作為的な仕掛けだとこの頃意を強く

する。永年武蔵野美術大学の名誉教授をされ、若い時、松本竣介、岡鹿之助に師事。2017年92歳で亡くなるが今でもその時頂いた礼状は大切にしまってある。

そろそろ桜の頃飾ることに。

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中野淳 海と桜油彩8号

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