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2023.03.03
散る桜 残る桜も 散る桜(良寛)

「宇都宮さん4千万もあれば、年金もあるし苦労をかけた家内と十分やっていけるんだ」と上越のスーパーのK創業者。蝉時雨が耳の奥に残る社長室で時間だけがそれを刻印するように丁寧に刻んでいた。35年前のこと。その後この案件は同じ競合大手の傘下になりいまは2300億の上場企業グループの中に。長岡の格式のあるホテルでの調印式は年の明けた2月に行われた。当日ドカ雪となり、K創業者は上越からの交通機関が大幅に遅れ会場に長靴で入ってこられた。地元では別に失礼にならない。 調印式でのK創業者の述べる文章を先方の社長にもこれでよいのかと事前に見せてほしいとのことで、先方の社長に渡すと幾筋もの朱書きが。それを見たK創業者は激昂し売却をやめると言い出した。事実地元の良寛に心酔していたオーナーは売却して手にした数十億円のほとんどを寄付した人。後から考えると朱書きを返されても、これがK創業者の心情ですとさらりと言う大人の対応で済んだのにと。K創業者がその言葉を読み終えると涙がとめどもなく流れていたのを今でも記憶している。その後、地元メディア、週刊誌で時の人となった姿を九州に向かう新幹線の中で読んだ。戦争で亡くなった兄嫁と結婚、二人で上越の市場に早朝から買い出しに行きせっせと働く。一人息子は銀行勤めを辞めず、そうこうするうちに奥さんが痴ほう症に。協会の会合で上京の折、徘徊した姿を見た時、事業を手放そうと、晩年は支えてくれた奥さんとの時間を大切に良寛のように暮らしたいと。 実際、週刊誌のインタビュー記事は托鉢したK創業者のにこやかな顔だった。 後日、手紙を頂いた。良寛の句が書かれていた。もう鬼籍に入った人。今でも僕は大切にとってある。そして桜の頃、この句を読んでいる。

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