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2022.07.08
17歳の手紙

美術部のI君の石膏デッサンを観た時、これは一生かなわない。嫉妬を通り越して絶望と諦め。彼は高校入学のため、下宿先から高校に通っていた。鳥の羽と木炭を持ち、彼の定位置からジュリアーノメディチ胸像を描いていた後景はいまでも鮮明に覚えている。口数も少なく、穏やかでそれでも17歳を満喫していた。現役で多摩美術大学の油絵科に入り、卒業後信州の木曽の女子高の美術の先生に。その時の教え子が奥さんになったと後年聞かされた。幸福な人生だと思う。それに比べ、小学4年でシュバイツァーのような医者になることホメロスの遺跡発掘のシュリーマンのように実業で成功して歴史的な発掘者になることを夢見、高校の時には夏休みに陶芸家に弟子入りし、フランクロイトライト、ル・コルビジェのような建築家を夢見、シケイロス、リベラのようなメキシコ絵画のような壁画を描く画家を夢見、第一志望の大学受験に落ちた友人はいち早く3月には東京の有名予備校の試験を受け上京するなか、建築学科を落ち、暫くぶらぶらした後、信州に戻り、長野県立図書館で遅れた受験勉強を開始。大学2年では突然、ギリシャの造船王・海運王オナシスのようになるのだと、海運会社に入るべく海運論で著名なA教授ゼミに内定するも著名教授が亡くなり、証券業界に。波乱の人生。それも全て予定調和の中の出来事かもしれないと、この頃思っている。まんざらでもない。明るく、楽しく生きる。

 

利根山光人 17歳の手紙8  

17歳の時、シケイロス、リベラと親しい洋画家利根山光人さんから頂いた葉書は今でも大切にしている

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