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2020.11.13
初めて買った絵 東山魁夷
烈しく雨が降っていた。薄暗い午後であった。芝の美術クラブで羽黒堂木村東介氏の開催している「長谷川利行展」を見に行った。
私はその中で「裸婦」の小作品に特に心ひかれた。極度に単純化された表現の、不思議な作品である。私はそれと「赤の道」の二点を買った。どちらも孤独感と寂寥感をたたえた中に素純なものが光る作品である。私自身、漸くどん底から這い上がって来たばかりの頃で、絵など買う余裕は無かった筈である。恐らくよほど安い価格であったろう。その頃、住んでいた工場の事務所の二階借りの、狭い部屋にそれを掛けた。
この絵は、私が生まれて初めて買った絵である。東山魁夷「放浪の天才画家長谷川利行展」図録。1976年

東山魁夷図録
少女の顔;長谷川利行
少女の顔(長谷川利行)油彩・キャンパス27×20.5

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