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2010.07.21
夏に読む空海の風景
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空海はすでに、人間とか人類というものに共通する原理を知った。空海が会得した原理には、王も民まなく、さらにかれは長安で人類というものは多くの民族に分かれていることを目で見て知ったが、仏教もしくは大日如来の密教はそれをも超越したものである。
空海がすでに人類としての実感のなかにいる以上、天皇といえども特に尊ぶ気になれず、ましてや天皇をとりまく朝廷などというちまちまとした添え物など、それを懼れねばならぬと自分にいいきかす気持ちさえおこらない様子なのである。
日本の歴史上の人物としての空海の印象の特異さは、このあたりにあるのかもしれない。
言いかえれば、空海だけが日本の歴史ななかで民族社会学的な存在でなく、人類的な存在だったという事がいえるのである。(司馬遼太郎、空海の風景下巻より)
34歳から36歳の槇尾山での2年間が空海にとり、インドでも唐にもなかった真言密教を体系的に完成するうえで一番大事な時期であったことが解った。
最澄が浅く拾った密教が、国の仏経、密教として認められる事を考えても空海ほどの強運な人はいないと思う。
18年ぶりに読み直す司馬遼太郎の「空海の風景」は自分自身の心の環境が少しづ
つ変わったのか、新鮮に感じ方が違う。
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                   創徳企業情報 代表取締役社長 宇都宮徳治
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