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2007.08.30
財界人物我観 (福沢桃介著)より 壮田 平五郎 (2)
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                         日光 夏 : 撮影 宇都宮


今日も、福沢桃介流の人物評がさえわたります。
以下紹介します。
三菱家は壮田平五郎という理屈攻めの人があって、岩崎家をキチンとして置いたから、今日に至ったのである。つまり三菱は、初め船をもって富を成し、その富をさらに鉄道にかえた。三菱は日本鉄道、九州鉄道、山陽鉄道、この三大鉄道の大株主であって、日露戦争後、西園寺内閣の時に鉄道が国有になって交付された金額は莫大で、その十分の一が三菱に入ったのだ。壮田をして、かかる偉業を大成せしめたのは何か、というと、彼が数理と経済にかけて、天才的の頭脳と、これを実行する勇気をもっていたからだ。理屈屋は、理屈を並べるに日が暮れて、得て消極的に成りがちだが、壮田は消極的のように見え、その実きわめて積極的だった。思慮熟考には手間取れるけれど、一度こうと決めたら途中で決して動かなかった。ではそれほどの彼が、何故モット偉い人になれなかったのか。面白いもので、いわゆる水清ければ魚棲まず、つまり清濁あわせ呑まなければ、英雄になれない。

財界人物我観 (福沢桃介著)より抜粋
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