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壺中対談Interview

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2025.11.03
20年くらい前の臨書

作品を探していたら、20年くらい前に書いた半紙の臨書手本が出てきた。

上手いと言えるものでもないが、今書くのとは何となく違うように思えた。

以前南京に留学していた時、指導教官であった尉天地教授の若い頃の作品を画廊で見つけ、買った事がある。

尉先生は若くして、中国全土に名の知られた先生であったので、贋作も多く、本物である事を確かめたく、ある授業(僕が修士課程に在籍していた頃の中国の大学院は一人か多くて二人だった。ほとんど個人授業であったので、いろんな事が聞けた。なんて贅沢な時間だったのか。もっとしっかり教わっていれば良かったと後悔ばかりだが。)の時に先生にお見せして、尋ねた事があった。

先生は、「だいぶ前の若い頃の作品だ。」と言ってくださり、安心していたところで、「今はもう書けない作品だな。」と頭の中がハテナ?となる言葉があった。

先生が言われた事は、作家としての深化の話だと捉えたのだが、今日見つけた僕の臨書手本からは、ただずっと書いているだけだと手に変な滓がたまってしまうという事を教わる事となった。

自分で言うのも変なのだけど、上手くはないが、なんか瑞々しく感じるところもある臨書手本であった。

少しは頑張っていたんだなと感じる事ができたので、今日は美味しいお酒を飲んでいます。

 

だから滓が溜まるわけだ。

 

菊山武士

 

 

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