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2025.09.20
草書の字典について

普段から草書や篆書の作品を書く事が多く、草書や篆書だけの辞書をよく使う。

楷書・行書・草書・篆書・隷書の五体を扱った字典が一般的なのですが、一つの書体だけの字典もある。

草書に関しては、「草字編」という字典をよく使っている。

ただ「草字編」には二種類あり、八巻セットのものとだいぶ縮小した1000ページ強の簡編本の二つ。

中国留学時代に手に入ったのは簡編だけであり、八巻セットのものは憧れの本であった。

僕が留学していた時代の中国は、まだあまり商売気がないと言うのか、みんなが欲しがっている本をなかなか再版してくれなかった。

なので旅先でも欲しいと思った本や字典があれば、買わざるをえないと言う感じで旅行を楽しむどころではなかった。

 

中国で手に入れることができなかった「草字編」の八巻本が、日本でも「中国草書大字典」として平凡社から出版されていることを知ったのは、帰国後のことであった。

時代も変化し、ネット上で古書も買え、あの憧れの八巻本をあっさりと手に入れる事ができた。

中国留学時代、教授の研究室で一際輝きを放っていたあの字典が手に入ったのである。

嬉しさのあまり、入手後毎日のように眺めていたのであるが、なんとなく扱いにくい事にも気付かされた。

それは、索引が総ページによるもので、第何巻の何ページとなっていないのである。

狭い家で字を書いている人間にとって、作品を書いている部屋と本棚のある部屋を行ったり来たりする事がどれほど大変な事か?

最高の字典を手に入れる事によって、身の丈を知る事ができた。

 

菊山武士

 

 

 

 

 

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