ホーム > 壺中対談 > 箱書            

壺中対談Interview

検索
2024.12.27
箱書

掛軸は、桐で作られた箱にしまい保管する事が多い。

外部の気温・湿度の変化(夏は少し膨らんで湿気の強い外気を遮断すると聞いた事がある。冬はその逆。)に適応して中の物を保護したり、桐に含まれる成分の中に殺虫効果があったりと本当に優れた素材らしい。

しかし厄介なのが、箱書である。

僕は、打率の悪い中距離ヒッターなので、何十枚もの紙を使ってようやく一つの作品を書き上げるのが精一杯。

箱書は一発勝負、緊張は最高潮に達するので、紙に何十回も書いて最後お酒の勢いを借りて書くしかない。

ただ箱書は、桐の箱の蓋部分に書く事がほとんどなので、蓋の面に書く作品の題名はまだ良いのだが、蓋裏面(凹んだ部分)に書く識語や款記は本当に厄介である。

僕が書き慣れていないだけの話ではあるのだけど、筆を大きく振って使えないのである。

とてつもなく字が縮こまったようになってしまう。

何かの本で富岡鉄斎や川村驥山のとんでもない箱書を見た事があるが、本当に気が遠くなるほどの修行が必要となりそうな。

この歳になってまだまだ自分の不甲斐なさを知る事となった2024年の年末。

皆様良いお年をお迎えください。

何かあれば今年もう一回くらい書かせて頂くかもしれませんが。

 

菊山武士

 

武士自題

 

 

 

 

検索
前月 2024年12月  
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  
                   
月別アーカイブ
壺中対談ランキング