事後設立とは、会社設立後2年以内に、その設立前から存在した財産で営業のために継続して使用するものを譲受会社の純資産額の5分の1以上(旧商法のもとでは20分の1とされていました)の金額で取得することをいいます。
旧商法では、財産引受や現物出資と同様、検査役の調査等の厳格な規制が定められていましたが、新会社法でこの規制は廃止されました。
新会社法では、取締役の業務執行の一環として取り扱うことを認め、特に重要な業務執行として株主総会の特別決議を要求するものとされました。
ただし、その対価が不当な場合には、取締役の任務懈怠等によって責任追及される可能性は残されます。
事後設立による営業譲渡
会社法上の留意点
新会社法において、新設合併、新設分割または株式移転により設立された会社については事後設立規制が課せられないことが明確にされました。
税法上の留意点
法人税法では、事後設立を行った場合、時価で資産・負債を譲渡した処理をした上で、一定の要件を満たした場合には適格事後設立として課税を繰延べることとしています。
適格事後設立の要件は次のとおりです。
a.事後設立法人(資産・負債の移転を行った法人)が被事後設立法人(資産・負債の移転を受けた法人)の発行済株式等の全部を保有していること。この要件により、親会社が子会社株式を100%保有していなければならないため、共同事業を行うための事後設立は適格事後設立とはなりません。
b.国内にある資産・負債を外国法人に移転するものでないこと。
c.事後設立法人が被事後設立法人の株式全部を資産・負債の譲渡時まで継続して保有していたこと。
d.持分割合が100%未満になることが見込まれていないこと。
e.資産等の譲渡が被事後設立法人設立時に予定されており、被事後設立法人設立後6ヶ月以内に行われたこと。
f.資産等の譲渡対価が被事後設立法人設立時の払込金額と概ね同額であったこと。