株式取得・譲渡
株式取得・譲渡による買収とは?
株式取得・譲渡による買収とは、被買収側の発行済株式総数の一定割合を取得してその経営権を支配することをいいます。
株式取得・譲渡によって買収する場合、買収会社の発行済株式の全てを取得することが一般的ですが、それができない場合、又はそうしなくても経営支配権の確保ができる場合は、一部分の株式を取得することがあります。
経営権を支配するとは、株主総会決議を自由に行える状態をいいますので、少なくとも発行済株式数の過半数を、できれば合併などの重要な決議が可能な、3分の2以上の株式を取得することが必要でしょう。
事業譲渡との比較
株式取得による方法の場合、当然に会社が所有する資産・負債を包括的に承継するため、個別の移転手続きは必要ありません。
しかし、当然のことながら、不良資産・簿外債務についても、包括的に承継するため、買い手企業は、そのリスクについて十分検討する必要があるでしょう。
一方、事業譲渡の場合には、資産・負債を個別に承継するため、個々の権利義務について、個別の移転手続きが必要になってきます。
しかし、事業譲渡の場合には、必要とする事業の資産・負債の範囲を限定することができるという長所があります。
株式取得・譲渡の手続
主な流れは以下のとおりです。
ア 株式譲渡契約の締結
イ 譲渡人からの株券の交付(株券発行会社の場合)
ウ 株主名簿の名義書換
株式の譲渡は、原則として自由に認められますが、株式市場に上場等していない非公開株式については、株式の譲渡制限のあるのが一般的ですので、その場合は取締役会の承認が必要となります。
また、名義株については、後に紛争が生じることがないように、事前に株式譲渡者に名義株の整理を求めたほうが良いでしょう。
税務上の留意点
既存の株主から株式を買い取る場合、譲渡した株主に株式の譲渡益課税が生じます。
また、譲渡対価に係る税務上の問題として、第三者間の売買であれば、実際の契約に基づく売買金額が「時価」とされるため一般的に問題となることはありません。
同族関係者(会社)間での売買については、譲渡対価が一般的に利害の一致した者の間で決定されることが多いため、譲渡対価の決定にあたっては、客観的でかつ論理的な算定根拠資料等を準備するなど十分な注意が必要です。